瞬発力がない

 仕事で私がある会議の準備をした時の話です。会議も座って聞いていればいい間は大丈夫だったのですが、発言したり運営したりする立場になると、私の「障害」が顔を出します。
 会議の日の朝礼で主催の課に進行表を配ると、突然誰々が会議に出られないという話になりました。進行表は会議の参加者に配布するもので、参加者の名前も載っています。外部の方も参加する会議だったので、私が
「参加者名直した方がいいですか」
と発言したらある人に
「とりあえず全員の分印刷すればいいでしょ。余ったらシュレッダーすればいいんだし」
と言われました。聞いたことと違う言葉が返ってくると混乱する私は何を言われているのかわからず、固まってしまいました。固まっている私にその人は
「わかった?」
と念を押しました。まさか
「何言っているかわかりません」
と言う訳にはいきません。
「はい」
と答えるのが精一杯でした。
 そして朝礼が終わってよく考えてやっと、その人がプリントの部数の話をしていたことがわかりました。私の発言から何かを勘違いしたのでしょう。それに対する模範解答は
「部数のことではなくて、このプリントに載っている参加者名から、参加できなくなった〇〇さんのお名前を削って刷り直した方がいいかなと思ったんです」
になるのでしょうか。内容は複雑で結構長いし、相手の受け取り方によってはけんか売っている風にも見えなくもありませんから気を使います。
 つまり、瞬間的にこれだけのことをしなければなりません。
1 相手が何をどう勘違いしているのか理解する
2 自分の言葉のどこが伝わらなかったのか分析する
3 相手の勘違いを指摘し、自分の言葉を正確に伝える言葉を構成する
4 感じ悪くならないよう修正する
5 感じよく表現する
 こんな難しいことを定型発達者は一瞬でできるのでしょうか。しかしこれができないと全部私のせいにされます。今回も
「部数のことも判断できないのか、馬鹿」
と思われたことでしょう。
 1回のことは些細でも、積み重なると私の評価に重大な影響を及ぼします。非常勤の私にとって評価は失業と直結します。今後の大きな課題です。