良心をもたない人たち
この本の帯には
「一見、魅力的だが、うそをついて人をあやつり、空涙をながして同情をひき、追いつめられると逆ギレする。25人に1人いる」
と書かれています。
「25人に1人いる」
が太字になっていて衝撃的です。本当にそんなにいるんでしょうか。
本文を読むと25人に1人なのは欧米の話で、アジアではもっと低く、台湾の調査では0.03から0.14パーセントと書かれています。この結果に若干安心します。1000人に1人くらいならそんな人も日本にいるかも知れません。その意味では
「25人に1人」
はあおりすぎです。
この本を読みながら、私は一貫して1人の同僚を想像していました。仮にA子と呼びます。A子は私が仕事上こんなとんでもないことをしました、と捏造し、上司に言いつけます。
「捏造」
です。事実ではありません。しかし聞いた人は
「いい大人がそんなうそをつかないだろう」
「全部本当でないにしても全部うそではないだろう」
と解釈するでしょう。しかし全部うそなのです。
A子は普段は気が強いのですが、いよいよ都合が悪くなると泣きます。泣いている人間を責めることは、普通の人間にはできません。責めるとその責めた人が悪者になってしまいます。
この本の中にも、他人の同情を買うのが上手な、良心をもたない人々、サイコパスが登場します。サイコパスから逃れようとする人は周りの人に
「何てひどいことを」
と責められます。
A子が問題のある人であることは社内でも多くの人が知っていますが、初めて会った人は気づきません。むしろ魅力的に映るようです。しばらくつき合ううちに気づく人もいますが気づかない人もいます。
本に登場するサイコパスに比べるとA子は多くの人にばれている分、間抜けにも見えます。A子はサイコパスなのでしょうか。私はサイコパスだろうと思います。そう考えた方が彼女に対して警戒もでき、自分の身を守ることができるからです。
一見優しい人に見えるサイコパス。1000人に1人だとしたら、一生のうちリアルで親しくつき合うことになるのは、個人差ありますが1人か2人ではないでしょうか。出会って気づくような相手ではありませんが、幸運にも気づくことができたならば、そっと逃げるしかないのです。
- 作者: マーサスタウト,Martha Staut,木村博江
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/10/04
- メディア: 文庫
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