ペンション

 旅行ブログを見ていて、十数年前ペンションに泊まった時のことを思い出したので書いてみます。
 私がある土地に旅行に行った時、そこに在住の先輩が知り合いのペンションを予約してくれました。ペンションというものがよくわからなかった私は不安でした。当時インターネットはあったのかも知れませんが、私とは繋がっていませんでした。
 旅行雑誌を見ると、ペンションはホテル並のところから一般家庭に間借りみたいなところまであり、アメニティーも様々、と書かれています。
 私は先輩を通し、歯ブラシやタオルはあるのか確認してもらいました。日本で旅行する時はたいてい歯ブラシやタオルが用意されていて、持参する必要がないからです。先輩からの返事は
「歯ブラシはないがタオルはある」
というものでした。
 ところが、タオルはアメニティーとして用意されていた訳ではなく、ペンションの経営者の家庭が好意で貸してくれた薄い顔ふきタオル1枚だけで、バスタオルもありませんでした。ないならないと言ってくれればいいのに。

  1. 先輩を通したのでニュアンスが伝わらなかった
  2. タオルを用意した方がよいかと聞けばよかった

 
など後からならいくらでも言えますが、私は楽しい気分が台なしになり、一緒に行った友達にまで当たってしまいました。その友達は
「ペンションなんだからアメニティーはなくて当然」
と言うのですが、それなら最初からないと言って欲しかったです。
 翌朝も
「電話かけられますか」
と聞いたら何の説明もなく、電話の子機をピッピッピッと操作して私に渡し
「電話番号言って」
と言いました。
「どういう仕組みなんですか」
「いいからいいから」
電話に出たらオペレーターの人が話しています。仕方ないので電話番号を言ったら保留になりました。
「いったいどうなっているんですか。自宅の電話を操作して留守電聞きたいんですけど、暗証番号入れないといけないんですが」
と言ったら子機を取り上げて切りました。
「じゃあ直接かけて」
どうも電話した後かかった料金を教えてくれるサービスにかけたらしいのですが、それなら先にそう説明してくれればいいのに。
 一緒に行った友達は
「一般家庭が経営しているんだから、サービスのプロじゃないんだから仕方ないよ」
と言うのですが、私はサービスのプロの前に会話が成立しなかった悲しみに捕われてしまいました。料金はホテル並みだったし、朝食も1000円も取られたけど、これなら喫茶店のモーニングサービスの方がましというレベルでした。他に誰も泊まっていなかったし。
 現代ならインターネットと携帯電話があるのでこの種のことは起こらないでしょうけれど、もう2度とペンションは利用しないと固く誓った思い出です。