専門能力と社会性

 私は発達障害診断以前、十数年の社会人生活をおくりましたが、その間、1年3ヶ月を越えて同じ部署にいたのは1度だけです。発達障害診断以後、勤めた派遣の仕事は契約満了まで4年、今の職場では2年と2ヶ月になります。診断を受けたことが、長期勤務を可能にしてくれました。
 発達障害者は1つの職場での長期勤務が難しいと言われます。今回は自分をサンプルに、長期勤務するためのコツを考えたいと思います。
 まず、なぜ私は診断以前、1年3ヶ月以内で退職もしくは異動しなければならなくなったのか、ヒントはYahoo!グループでやっているわたりとりさんとの議論で出てきたこの文にあります。

一般的に、新入社員にまず訓示され期待されるのは専門能力より社会性のほうですよね。顧客への応対方法とか上長への報連相とか職場の人付き合いとか。
単独で給与に見合う職能を発揮するべき期限は(職種によりますが)数ヶ月から数年先と設定されているのに、社会性の方は入社して数日から数週間中には一通り身に付けるものと期待されている、と私は感じます。現状は、職能よりも社会性にアプローチされているほうが先なのです。

 改めてそう言われると、これはすごいルールです。職能の方は年単位で待ってもらえるのに比べ、社会性はせいぜい数週間、いつまでも社会性の身につかない私が、1年で見切りをつけられたのも無理はありません。
 次に、1年3ヶ月以上もった3部署の特徴をまとめてみます。
 
1 診断以前唯一もった部署
(1)新規事業だった
(2)私がそれに関する専門知識を持っていた
(3)上司と私とパートさん1人だけという部署だった
 
2 診断以後4年勤めた派遣先
(1)常駐が私1人という環境で、自分の裁量で仕事ができた
(2)仕事の一覧表があって、その通りにすればよかった
(3)技術系の会社で、私に似た感じの社員さんが多かった
 
3 今勤めている会社
(1)専門職としての採用だった
(2)入社時に集合研修があった
(3)結果さえ出せば過程はあまり気にしない社風である
 
 意外と共通点が見つからないものですね。強いて言えば
「自分か周りが専門職」
ということでしょうか。
 それから、以前の私もですが、発達障害者は怒られると世界の終わりみたいに絶望してしまうので、自分は発達障害者なんだから怒られて当然、評価が低くても当然、解雇されても当然、くらいの感覚で流してしまうことですね。それが難しいのですが。