発達障害の人の就活ノート

発達障害の人の就活ノート

発達障害の人の就活ノート

 年末に読んだ本の紹介です。発達障害者本人が読んでもいいですが、むしろ支援者や保護者向けに書かれたのではないかと思われる内容です。
 この本によると発達障害者は自分の適性を把握して適切な職業を選択する能力に欠けることが多いようです。自分の経験からしてもそれは実にうなずけることです。
 しかしネット上の掲示板で
「こういう仕事をしたい、と相談したらあなたは発達障害者だから無理、こういう仕事をしなさい、と言われた、ひどい」
という内容の書き込みを何度か見かけたことがあります。それに対する主な反応は
発達障害者といっても人それぞれなのに、決めつけて将来の芽を摘み取ってしまうのはひどいですね」
というものです。
「あなたは発達障害者だから無理」
とその部分だけを切り取るとひどいみたいですが、そういう言い方をしていなくてもそういう風に受け取ってしまうのは、私も発達障害者だからわかります。
 これは難しい問題ですね。あなたには適性がない、よりも発達障害者だから無理、の方が優しい言い方にも見えます。仕事に就く時は誰でも
「こういう仕事をしたい」
と夢を描くものです。それをやりもしないうちから否定されればカチンと来るでしょう。
 一方で、わざと苦手な分野の進路、職業を選んでしまう発達障害者が驚くほど存在します。定型発達者から見ればアホかと思うような選択ですが
「得意なことはしなくていいから苦手なことを一生懸命頑張りなさい」
と怒られ続けた名残です。私も得意なことをすることは怠け者の所業である、と罪悪感を抱き続けていました。ブログでも怒られたことがあります。それくらい、
「苦手なことを避けて得意なことをする」 
のは邪悪なことなのです。
 定型発達者なら苦手なことも苦手なりにこなせるかも知れませんが、発達障害者にとっては本人も周りも地獄です。苦手なことを職業にした結果、早期離職や二次障害につながり、最悪社会復帰できなくなるほどの傷を負った人がたくさん存在します。支援者がそれを少しでも避けるために、明らかに向いていない職業選択を止めようとするのは当然のことです。そう考えると
「やりたい仕事に就くのが一番ですよ」
と無責任には言えないよな、と思います。好きと得意は必ずしも一致しません。仕事にはいろいろ複雑な要素が絡むので
「プラモデルが好き」と「プラモデルを売る仕事ができる」
は別物です。
 どうすればいいかというと、月並みですが、信頼できる他人様(家族、支援者含む)に相談するのが一番です。あくまで信頼できる人であることが重要です。信頼していない人だと、上に挙げたネット上の掲示板の例のように反発することになるだけですし、信頼するに値しない人もたくさんいます。
 発達障害者は一般に人間関係がうまくいっていないので、信頼できる相談相手がいるかどうかが問題なのですが、判断力の弱い発達障害者がこの世を生き抜いていく上で、信頼できる相談相手は絶対必要です。