犯罪心理学入門4

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

 本書には発達障害という表現こそありませんが、
「知能の高低よりも質に目を向けるべき」
「(犯罪者は)言語性IQよりも動作性IQの方が10以上も高いことが多い」
など、発達障害を想起させる表現が出てきます。
 また、早幼児期脳障害というADHDを連想させる疾患が紹介されています。注意集中力の不足、不安定な感情、衝動的、加齢によって安定してくるなどの特徴を持っています。名前が違うだけで、概念はあったのでしょう。
 発達障害については言及を避けようと思ってこの本を使ったのに、逆にこの時代からあったことを知らされてしまいました。
 犯罪者に知的障害者が多いことは現代でも言われていますが、知的障害単独で重大犯罪の要因になることはまれで、パーソナリティ障害を伴っていることが多いそうです。それは精神疾患の犯罪者も同じです。
 前記事「犯罪心理学入門3」の中で下記のように分類しました。

  1. 正常な犯罪者
  2. 知的障害の犯罪者
  3. パーソナリティ障害の犯罪者
  4. 精神疾患の犯罪者

(5. 知的障害を伴わない発達障害の犯罪者)
 ほとんどの場合このようにきれいに分かれず複合型になるのに、報道では1つの要因だけが取り上げられがちで残念です。
 発達障害の犯罪者は存在するのか、と問われれば
「する」
という回答になるでしょう。定型発達の犯罪者が存在するのと同様にです。それは同様の扱いではないということです。(終わり)