犯罪心理学入門3

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

 犯罪者を精神医学的に類型すると次のような分類になります。

  1. 正常な犯罪者
  2. 精神薄弱の犯罪者
  3. 精神病質の犯罪者
  4. 精神病の犯罪者

 重要なのは、正常な犯罪者も存在するということです。正常な犯罪者の方が怖い気がします。原因や要因を求めることは求める側の心の安定にとって必要だからです。何もない方が恐ろしいです。
 1982年発行の書籍から引用しているので危ない表現になっていますが、現代風に直すならこうなります。完全にイコールではありませんが、以下、引用以外は原則現代風の表現を用います。

  1. 正常な犯罪者
  2. 知的障害の犯罪者
  3. パーソナリティ障害の犯罪者
  4. 精神疾患の犯罪者

(5. 知的障害を伴わない発達障害の犯罪者)
 まとめると、精神医学的領域における犯罪の要因は、知能、性格、疾患です。
 この本の書かれた時代に5の概念は存在しなかったので、5に属する人は1〜4のいずれかに分類されていたことでしょう。都合のいいことに知的障害を伴わない発達障害の特徴や個性は幅広く、知能の問題にも性格の問題にも見えるし精神疾患とも取れます。
 現代では、他の類型でなく発達障害で説明する方が早いという事態になっていないか心配です。類似の本を何冊か立ち読みした限り、何でもアスペルガー症候群で説明しようとしている感じがしたのです。