精神障害の罪と罰2

精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

 この書籍で紹介された精神障害の分類は下記の通りです。

  1. 身体に基盤のある精神病(脳腫瘍、脳外傷など)
  2. 内因性精神病(統合失調症、そううつ病など)
  3. 正常からの偏奇(パーソナリティ障害、発達障害、薬物依存など)

 
 心神喪失心神耗弱で減刑されるという話を、私は漫画やドラマで学びました。弁護士がそういう弁護方針を立てる場面があって、実際そうなのかわかりませんが、その辺がうさん臭さを醸し出します。
 漫画やドラマついでに、脳腫瘍という病気は比較的創作のテーマになりやすいのですが、それで人格が変容することはほとんど描かれません。
 当然、上の疾患が全て減刑の対象になる訳ではなく、パーソナリティ障害や発達障害はまず考慮されません。
 
 統合失調症患者が他を害するメカニズムは主に妄想です。ある人が自分に危害を加えようとしている、既に加えている、と、本人としては本気で信じてしまい自己防衛のために他者を害してしまう、ということです。
 そういうことがあることを考えると
「殴られても殴り返してはいけない」
という教育方針には一定の理があります。殴られたこと自体が妄想かも知れないからです。
 
 いくら患者(あるいは犯人)にとってはその世界が全てであったとしても、一般人、特に被害者にとってはそれで不起訴や無罪になっては割り切れません。この書籍の著者はその点について
「不起訴や無罪になっても自由放免ではなく措置入院となる。問題は入院すると司法の手から離れ病院任せになってしまうこと」
と述べています。医療と司法、理系トップと文系トップ、仲悪そうなイメージ(妄想)です。